地球周回軌道離脱から4時間後。
　地球周回時には水平だった地球のへりが、出発とともに徐々にカーブを増し、それはついに、窓一杯に広がる青い円盤となりました。

　人類はこのとき初めて、惑星としての地球を宇宙の視点から見たのです。

 

　おお…極寒の祖国と、夜明け前のアメリカと、灼熱のサハラと、真夏の南アフリカが同時に見える…
　私の視界の中で、あの小さな球の上で40億人の人々が生きている…　おお、なんと美しい！

 

　予定では、ここで全世界に向けてカラーテレビによる実況中継を行う予定でした。しかしハイゲインアンテナの展開失敗によりテレビ映像の送信が不可能になったので、音声のみのコメントが、テレビやラジオで流されます。

 

　世界中の人々は、レオノフ飛行士のコメントから、漆黒の宇宙に浮かぶ、丸い地球を想像し、空想を極限まで膨らませます。なにせこの当時、宇宙に浮かぶ真ん丸い地球のカラー写真を見たことがある人は、誰もいなかったのです。

 

　レオノフ飛行士は、どんなロマンティックなコメントを発していたのでしょうか？また飛行士は、ムービーフィルムやカラーカメラでも撮影を行います。

 

1968年11月11日。

　二つのスタートラッカーのうち一つは、結局機能を回復し、シリウスを捕らえることに成功しました。地上での計算結果から近地点が155kmずれていたことが判明していたので、40分後、自動操縦により、8.5秒間の軌道修正噴射を行いました。